新千歳空港から車で25分、馬追(マオイ)の丘へとつづく一本道のうえ、林に抱かれた一棟貸切のバケーションハウス。 2014年、施主である武隈氏とともに企画から設計・施工までを Atelier-D が手がけた、北海道の収益不動産・一棟貸し市場が立ち上がるよりも先に建ち上がった、当社にとっての収益建築の原点です。
家として建て、宿として開く。
暮らしの密度を、滞在へ手渡す。
MAOIQの本棟は、もともと施主である武隈洋輔氏自身の住まいとして 2014–2015 年に新築した一棟です。 その完成からほどなくして、隣接する建物が空くという縁から、武隈氏は自らはそちらへ住み替え、新築したこの建物を一棟貸切のバケーションハウスとして開くことになりました。 「日常の、圏外へ。」というMAOIQのコンセプトは、もともと自分自身が日々を過ごすために選んだ密度と作法を、訪れる人の滞在へとそのまま手渡す——そういう発想から生まれています。
建築は、馬追の丘に対して水平に伸びる屋根と、南面に開いた大きなガラス面で構成される。 木の縦張りの外壁、黒い金属屋根、足元のウッドデッキ。北海道の冬と夏の振幅をひとつの素材構成のなかに受け止め、シンプルなプロポーションのなかで「飽きずに何年も暮らせる」ことを最大の設計指標とした。
内部は、吹き抜けを軸に組み立てた一室空間。木造軸組の構造材を露出させた柱と梁、黒く塗装した鉄骨の階段、薪ストーブの直線的な煙突、コンクリートの土間の床。 素材それぞれの粒度を活かし、宿としての過剰な意匠を削ぎ落とすことで、結果として宿泊者がアンティーク家具や季節の道具を持ち込む余白が、たっぷりと残されている。
Atelier-Dにとってのこの一棟は、「設計の、その先まで。」というブランドコピーを生むことになった、最初の作品です。 図面を引き、建物を建てるところで業務が終わるのではなく、その建物が誰のために、どう使われ、どう収益を生み続けるか——そこまでを設計の射程に置く姿勢は、ここから始まりました。